住宅取得資金等の贈与税の非課税枠拡大

相澤怜那

こんにちは、(株)いえまるの相澤です。

 

消費税10%もあと少しですね。
増税に伴い、住宅取得にメリットが出る支援策がいくつか用意されています。

今回はその一つである、「住宅取得資金等の贈与税の非課税枠拡大」について。

 

 

贈与税とは

まず、贈与税とは何でしょうか?

人から現金や財産をもらうと贈与税がかかります。ただし、1年間(1月1日~12月31日)にもらった財産の合計額が110万円(基礎控除額)以内であれば贈与税はかかりません。
財産の合計が110万円を超える場合は、超えた額に対して、贈与税が課されます。

例えば・・・
20歳以上の者が父母・祖父母等の直系尊属から、現金200万円をもらった場合

まずは、基礎控除額の110万円を引きます。200万円-110万円=90万円
この場合は、90万円に対して税率10%の贈与税が課され、控除額は0円となります。
90万円×10%-0万円=9万円
贈与税額9万円となります。

尚、税率はもらった財産が大きいほど高くなるので、もらえばもらう程、贈与税額も高くなります。

 

例えば・・・
20歳以上の者が父母・祖父母等の直系尊属から、現金1000万円をもらった場合

まずは、基礎控除額の110万円を引きます。1000万円-110万円=890万円
この場合は、890万円に対して税率30%の贈与税が課され、控除額が90万円となります。
890万円×30%-90万円=177万円
贈与税額177万円となります。

贈与税額って大きいですよね・・・

 

 

 

住宅取得資金等の贈与の場合はどうなる?

では、住宅取得等資金等を父母・祖父母等の直系尊属からもらう場合の贈与税はどうなるでしょうか?
住宅取得等資金等の贈与の場合は、「住宅取得等資金贈与の非課税」という制度を利用することができる場合があります。(条件有)
この制度を利用することができれば、贈与税の負担がかなり軽減されます。

 

 

 

住宅取得等資金贈与の非課税とは

消費税8%の物件を取得する場合、もしくは、消費税がかからない物件(売主が個人の場合や土地購入)については、「最大1200万円」の贈与までが非課税となります。

尚、消費税が上がって10%になった場合で、取得する物件に消費税が10%が適応される場合は、「最大3000万円」の贈与まで、贈与税が非課税となります。

 

 

★消費税が8%の物件を取得、もしくは消費税がかからない物件(売主が個人の場合や土地購入)を取得した場合の非課税限度額

契約締結日 省エネ等住宅 省エネ等住宅以外の住宅
2016年1月1日~2020年3月31日 1,200万円 700万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,000万円 500万円
2021年4月1日~2021年12月31日 800万円 300万円

 

 

★消費税が10%の物件を取得した場合の非課税限度額

契約締結日 省エネ等住宅 省エネ等住宅以外の住宅
2019年4月1日~2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日 1,200万円 700万円

 

 

 

「住宅取得等資金贈与の非課税」が使える条件は?

「住宅取得等資金贈与の非課税」を利用するには、下記等の条件があります。

★父母・祖父母等の直系尊属から贈与を受けること。
※配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。

★贈与を受けた方がその年の1月1日において20歳以上であること。

★贈与を受けた方のその年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

★贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告をすること。

★贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること。又は遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

★取得する家屋等についての条件
・住宅の床面積(登記簿面積)が50㎡以上240㎡以下であること。
・中古住宅の場合は以下の3つのいずれかを満たすものであること。
①マンション等の耐火建築物は築25年以内、木造住宅等は築20年以内であること。
②一定の耐震基準をみたすことが建築士等によって証明された住宅であること。
③購入後に耐震改修工事を行い、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに建築士等によって一定の耐震基準に適合すると証明された住宅であること。

 

 

 

いろんなケース

購入する物件や時期によって、非課税となる限度が異なります。

<ケース1>
2020年1月に築10年、60㎡の中古マンション(省エネ住宅ではない)を個人の売主から購入した場合
⇒この場合は、消費税がかからない物件なので、住宅取得等資金贈与の非課税限度額は700万円。これに基礎控除額の110万円を加えて、810万円までが非課税となります。

 

<ケース2>
2019年11月に省エネ住宅の新築戸建(消費税10%)を購入した場合
⇒この場合は、住宅取得等資金贈与の非課税限度額は3,000万円。これに基礎控除額の110万円を加えて、3,110万円までが非課税となります。

 

<ケース3>
2020年5月に省エネ住宅の新築戸建(消費税10%)を購入した場合
⇒この場合は、住宅取得等資金贈与の非課税限度額は1,500万円。これに基礎控除額の110万円を加えて、1,610万円までが非課税となります。

 

 

 

”住宅取得資金等の贈与税、非課税枠拡大”によって得をする人はどんな人?

★住宅取得にあたって、ご両親等からかなりの資金を援助してもらえる場合。
↑この条件を満たされる方が少ないような気がしますが・・・何千万円も援助してもらえる方って少ないですよね。

★当たり前ですが・・・住宅取得等資金贈与の非課税の条件を満たしていること。

★消費税10%が適用される物件を購入する場合。

 

尚、消費税8%適用か消費税10%適用かは物件の引き渡し日で決まります。

詳細はこちらをご覧ください。⇓

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